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結論から言うと、忙しいからという理由だけで人を雇うのは危ういと考えています。理由は、増えるのが給料だけではないからです。社会保険料などを含めた収支を見なければなりませんし、育つまでの時間もかかります。そのあいだ、こちらは今よりも忙しくなります。私自身、業務が増えて手が回らなくなったときに、何度もこの判断を迫られてきました。この記事では、雇うかどうかを決める前に何を見ているかを書きます。
まずは、どんなときに採用が頭に浮かぶのかから始めます。
手が回らない時

結論として、採用を考えるきっかけは、たいてい忙しさです。理由は、目の前の仕事が明らかに処理しきれなくなるからです。私の場合も、業務が増えて手が回らなくなったときに、人を増やすことを考えました。ただ、そこですぐ動くかどうかで、その後がずいぶん変わります。
業務が積み上がっていく
やるべきことが増え、終わらないまま翌日に持ち越されていきます。この状態が続くと、判断そのものが雑になります。まずは、その状態にあると認めることが出発点です。
最初に浮かぶのが採用
手が足りないのだから、人を増やせばよい。いちばん自然に浮かぶ発想です。実際、それが正解の場面もあります。
すぐに動く前に
ただ、忙しさに押されて決めると、あとから条件を見落としていたことに気づきます。焦っているときほど、いったん止まって数えてみることが必要です。
給料だけではない

結論として、人を雇うと、給料以外の負担も一緒についてきます。理由は、制度として決まっている費用があるからです。お金の面は、給料だけではなく社会保険料などを含めて、総合的に収支を考えなくてはなりません。ここを見落とすと、あとから資金繰りが苦しくなります。
労働保険は1人からかかる
従業員を1人でも雇えば、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が必要になります。このうち労災保険料は、事業主が全額を負担します。人数が少ないから関係ない、という話ではありません。
健康保険と厚生年金の扱い
個人事業の場合、従業員が5人未満であれば、健康保険と厚生年金は原則として加入義務がないとされています。任意で加入する制度もありますが、その場合は従業員の同意など条件があります。業種によって扱いが違い、制度の改正も予定されているため、実際に雇う前に確認してください。
総合的な収支で見る
一般に、会社が負担する法定福利費は給与の15〜16%程度が目安とされています。つまり、手取りとして渡す金額より、出ていくお金は大きくなります。人件費は、給料の金額だけで考えてはいけません。
雇えば回るのか

結論として、人が増えればすぐ作業が回るわけではありません。理由は、教える時間が必ず必要になるからです。私が自分に問いかけるのは、人が増えると本当に作業は回るようになるのか、そして、教えることを考えたら今はその時ではないのではないか、という二つです。
教える時間がかかる
新しく入った人に、仕事のやり方を伝える時間が要ります。手順を説明し、確認し、直す。忙しい時期ほど、この時間を取るのが難しくなります。
しばらくは今より忙しくなる
教えているあいだは、自分の仕事に加えて指導の時間が乗ります。つまり、雇った直後はむしろ忙しくなります。この期間を乗り切れる余力があるかどうかが分かれ目です。
今がその時なのか
だからこそ、今がその時なのかを考えます。落ち着いている時期に採用して育てておく方が、結果としてうまくいくこともあります。忙しさの真っ最中は、実は向いていない時期かもしれません。
摩擦も増える

結論として、人が増えれば、人と人のあいだに摩擦が生まれます。理由は、採用した人はあなたではないからです。同じ言葉で説明しても、受け取り方は同じになりません。悪意があるわけではないのです。ただ、小さな違いが積み重なると、それが摩擦になります。どの職場でも起きることだと思っています。
採用した人は、あなたではない
採用した人材は、あなたではありません。自分と同じ速さで動き、同じ基準で判断してくれるわけではないのです。ここを期待してしまうと、うまくいかないたびに落胆することになります。
小さな違いが摩擦になる
人は集まれば、小さな違いが摩擦を生みます。仕事の進め方、言葉の選び方、優先順位の付け方。ひとつずつは些細なことでも、毎日となれば積み重なっていきます。
それでも一緒にやっていく
だからといって、誰も雇わないという話ではありません。他人は変えられないという前提に立ったうえで、何を任せて何を任せないかを決めていく。その調整も、雇う側の仕事のうちです。
疲弊度合いで見る

結論として、最後は自分の疲弊度合いによると考えています。理由は、数字だけでは割り切れない部分があるからです。無理を続けて自分が倒れてしまえば、店そのものが止まります。判断材料として、自分の状態も数に入れるべきです。
一時的な忙しさかどうか
繁忙期のような、時期が過ぎれば落ち着く忙しさもあります。その場合は、人を増やしたあとに手が余ることになります。まずは、いつまで続く忙しさなのかを見てください。
ずっと続いている忙しさか
一方で、何か月も同じ状態が続いているなら、構造の問題です。回し方を変えるか、人を増やすか。どこかで手を打たなければ終わりません。
自分の状態も判断材料
そして、自分がどれだけ消耗しているか。ここは無視できません。判断が鈍っていると感じるなら、それ自体が限界のサインだと考えています。
雇う前に試すこと

結論として、採用を決める前に試せることがあります。理由は、忙しさの原因が人手だけとは限らないからです。私自身、人を増やす以外の方法で負担を減らせた場面がありました。ここでは、実際に試したことを紹介します。
外注に出してみる
定期的な床掃除を外注に出したことは、負担を減らす一つになりました。毎回発生していた作業がなくなるだけで、気持ちの余裕が変わります。切り出しやすい業務から試すのがよいと思います。
業務そのものを見直す
業務を見直して、手間を減らすことも大事です。長く続けているというだけで残っている作業は、意外とあります。なくせるものがないかを、先に確かめてみてください。
AIはまだ試行錯誤の段階
AIの活用も考えています。ただ、日常業務に落とし込むまでが大変で、正直なところ試行錯誤の段階です。すぐに人手の代わりになるとは考えていません。
相談相手としてのAI
一方で、AIは何に困っているのかを整理する相手としては役に立ちます。忙しさの正体が人手なのか、段取りなのか。AIに向かって言葉にして並べていくうちに、見えてくるものがあります。人に相談しにくい内容でも、気兼ねなく話せるところが助かります。
みんなの疑問に回答

ここからは、人を雇うかどうかで出てきやすい疑問をまとめます。私は社会保険労務士ではありませんので、自分の経験と公開されている情報から分かる範囲でお答えします。手続きや加入義務の判断は、必ず専門機関にご確認ください。
1人だけ雇う場合も保険の手続きは必要ですか
労働保険については、1人でも雇えば加入が必要になります。健康保険と厚生年金は、個人事業で5人未満なら原則として義務ではないとされていますが、業種によって扱いが異なります。
人件費は給料の何倍で見ておけばよいですか
会社が負担する法定福利費は、給与の15〜16%程度が目安とされています。給料だけで計算していると、その分が抜け落ちます。
雇えばすぐに楽になりますか
なりません。教える時間が必要なので、しばらくは今より忙しくなります。そこを越えられる余力があるかどうかで判断してください。
人が増えると人間関係が心配です
人が集まれば、小さな違いから摩擦は生まれます。採用した人は自分ではないので、同じようには動きません。その前提に立って、何を任せるかを決めていくことになります。
外注と採用はどちらがよいですか
切り出しやすい定期的な業務であれば、外注が向いています。私は床掃除を外注に出しました。判断が必要な仕事や、店の中核にある仕事は、人に任せることになります。
AIで人手の代わりになりますか
今のところ、そこまでは難しいと感じています。日常業務に落とし込むまでに手間がかかるためです。使える場面から少しずつ試すのが現実的でしょう。
総合的に判断する

忙しいからと、すぐに人を雇うのではありません。増えるのは給料だけではなく、社会保険料などを含めた収支で見る必要があります。教える時間もかかり、しばらくは今より忙しくなります。そのうえで、忙しさが一時的なものか、自分の疲弊がどこまで来ているかを見ます。外注や業務の見直しで足りることもあります。総合的に判断することが大事だと考えています。
今の忙しさが、いつから続いているかを思い出してみてください。それが分かれば、採用が答えかどうかも見えてきます。
